ジャズを学ぶということ: #1 五感と即興演奏

コラム

ジャズを学ぶということ: #1 五感と即興演奏

「ジャズピアノを学ぶ」ということを一言で表すと、気の遠くなるほど、深遠なプロセスです。そのくらい、幅と奥行き、広さを含む学びです。

今回からスタートしたこの連載。テーマは「ジャズピアノを学ぶということ。」この連載では広大な「ジャズ」の世界から、一つ一つすくい上げるように「ジャズピアノを学ぶとはどういうことだろう?」と掘り下げていきたいと思います。いうならば「ジャズピアノの学び」の発掘と探索。読者の皆さまと一緒に「ジャズピアノ」を掘り出し、多角的に見つめながら深めていける。そんな連載にしたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

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食欲をそそる料理の香りが漂ってくると、私たちは過去の経験からその味を思い出し、食べたくなるものです。この現象は、即興演奏においても同じことが言えます。ミュージシャンは記憶の中に蓄えられた音の響きや音の組み合わせを瞬時に引き出し、音を紡ぎます。これは一種の味覚のようなものであり、それがジャズの文脈を作っています。

ジャズは、自らの感覚をフルに活用して、まるでシェフが料理にスパイスを加えるように、音楽に新たな要素を加えていきます。この過程で重要なのが「センス」、つまり繊細な感覚です。感覚は奏者にとっての言語であり、聴き手にとっての体験です。それは味覚に似て非なる経験であり、ジャズを楽しむために必要な「感覚」なのです。

ミュージシャンはその瞬間の空気を汲み、観客とのインタラクションの中で生まれる「今」を形作り、即座に演奏に反映させる。予測不可能なその展開や、新しいメロディーやリズムが飛び出すたびに、その場にいる全ての人の心が騒つくような一体感、それはまさに「ジャズってこういうものなんだ」と感じさせられる瞬間でもあります。そして、それぞれのミュージシャンが持つ独自のセンスが、魔法のように一瞬で音楽を化けさせてしまう。

“Jazz music is the power of now. There is no script. It’s conversation. The emotion is given to you by musicians as they make split-second decisions to fulfil what they feel the moment requires.”

ジャズは「今この瞬間の力」その即興的な性質と、ミュージシャンが瞬時に音楽的決断を下すことで感情を伝える会話のようなものだ。 Wynton Marsalis

https://jazzfuel.com/jazz-quotes/

即興演奏で繰り広げられるのは、聴き手にとっても、奏者にとってもただの演奏ではなく、感覚を通じた深い対話でもある。これがジャズのおもしろいところの一つです。

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